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2007-01-11

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有名な週間オブイェクト徴兵制についての理解はここまで広まりましたエントリに見られるように、いわゆる世の中の軍事マニア、軍事オタクと言われる人々は徴兵制について否定的な見解を持つ。そして、彼らはその主たる理由として、現に西側諸国では兵力削減、少数精鋭化を進めており、かつハイテク兵器を活用する現代戦においては、徴兵制によるマス・アーミーは適合的ではなく、練度の高いプロフェッショナル・アーミーが望ましいと言うのである。

確かに、多くの西側諸国は兵力削減をしているし、また、軽くて強くて速い戦力―空中機動化やC4ISR化された戦力―を速やかに投入して、敵の後方域、指揮所等の弱点を打撃し速やかに勝利を得るという方式は正しいように思える。しかし、それでは勝てない戦争というのも存在する。

このような敵の弱点への打撃を中心とする理論リデル・ハートに大きな源流を持つ。リデル・ハート第一次世界大戦における凄惨な消耗戦の原因をナポレオン以降の近代作戦理論クラウゼヴィッツ理論化した理論に求めた*1。決戦による敵戦闘力の撃滅を基調とした作戦が近代工業力に支えられた場合、大消耗戦に陥ったということを批判したのである。ここで、リデル・ハートは間接アプローチ戦略という概念を提唱し、敵の弱点に対する打撃を推奨したのであるが、しかしこの考えも決戦・大量集中戦略と同様に、ある特定の場合にのみ適合する概念ではないのだろうか?

ナポレオン以降の軍人ナポレオンの真髄を敵主力との決戦、仮借なき追撃に現れる決戦・大量集中戦略と解釈し、これこそ勝利の方程式であると誤解した。しかし、ナポレオンロシアスペインで敗北したのであり、つまりこの決戦・大量集中戦略というのは19世紀初頭のヨーロッパ中部で適合的だったにすぎないと考えられはしないだろうか。

間接アプローチ戦略も同様である。また、現代の軽くて強くて速い軍による戦争もそうである。現代の軽くて強くて速い軍による戦争のドクトリンというのは、元来核抑止下における限定戦争を意識したものであり、対ゲリラ戦や全面戦争のドクトリンではない。だからこそ、アメリカイラクで大出血を見ているのではないだろうか。

そう見れば、この週間オブイェクトJSF氏の議論というのは一面的に過ぎるように私は考えられるのである。

*1:しかしながら、本来批判されるべきはクラウゼヴィッツそのものよりも、彼を誤読した後継者であろう。

無名無名2007/01/13 11:24徴兵制の問題は、教育と不可分と思われます。
義務教育の代替としての徴兵制もありますし大学、大学院に奨学金を出し中流階層以下の高学歴者の多くがが経済的理由により、実質上、徴兵類似のシステムに組み込まれる例もあります。
しかし、どちらの方法でも共通しているのは、必要な人員を一気に動員でき、限定的な作戦も、総力戦も行える、ある意味自由度の高いシステムといえます。

無名無名2007/01/13 11:32イラクにおけるアメリカの誤謬は、宗教や歴史に対するものを除けば(もっとも、そこの部分を誤っている以上、始めから成功は望めないでしょう。)人命のインフレに気が付かなかったことでしょう。
今日の先進国においては、公傷による障害者や労災遺族に対しては極めて高額の年金、弔慰金が求められます。(その点日本はいくらでも戦死者を出せるような気もします。)
また、多額の奨学金により拘束している専門家を失うことは、更なる教育費の増大を招き軍事費として計上されない出費を強いられます。

無名無名2007/01/13 12:33最近の西側諸国の考え方は、社会が軍事費に耐えられなくなっているので、軽量化しようという、マイナスの考え方と思います。
しかし、現実として、軍事費を抑制しながら、ある程度の戦闘力を維持するとなると、軍そのものを軽量化するしか道はないでしょう。
貴殿の言うように、軽量化された軍には打撃力はあっても、継戦能力は乏しくなる(大日本帝国海軍やドイツ陸軍のような軍でしょう。)ため、普通の神経の持ち主が有権者、政治家となれば極端に戦争を忌避するはずです。(現実は異なるようですが。)

なしななしな2007/01/13 16:04徴兵制って言うと打撃力だの継戦能力だのを考慮したくなるので訳がわからなくなるかもしれないが、徴兵制否定の根は軍事以外の全業種にも通じる以下の単純な話につきる。
「素人は役に立たない」
小難しく言えば「未経験者による作業は効率が悪い」ということ。

イラクの話で言うと、テロリスト相手の非対称戦争には非対称戦のプロが必要なのだが、徴兵制を敷いたらそのプロを育成する手助けになるか?ならない。
プロの育成にはそういう訓練課程の新設が必要なのであって、徴兵とは無関係。

前提となる解決すべき問題の設定が違うんじゃないのと思われる。

無名無名2007/01/14 12:42自衛隊や軍にいた人間ならすぐにわかることですが、実を言うと内地における業務の多くは民間とは比較にならないほどの単純かつ、簡単なものです。
毎日行われる警衛を例にすると、特殊な技能が必要なのは、交代と起床、国歌、就寝などに吹かれるラッパ手ぐらいです。
これらの人間を、安価な人間で済ませることができれば良いと考えることは、ある意味マトモといえるかもしれません。
実際、国内の米軍基地の多くは、憲兵隊による警備ではなく、基地内か米国において最低限の訓練を受けた日本人ガードマンが行っています。
これらの、日本人の人件費は日本政府の支出であり、米軍はその分の人員を前線に振り向けることができると言えます。

無名無名2007/01/14 12:53当然、在日米軍は特殊な例ですが、さしたる、技能を必要としない兵士、下士官、将校などに人件費を払うことと、徴兵により、短期間強制ボランティアをさせることと、可能な限り民間に委託することを比べると、どれが一番、安価かというと、恐らく、ボランティアでしょう。(一年兵役のように比較的高い階級と引き換えに、すべてを自弁させれば、なお、安価となります。)
しかし、本人が望まない、強制ボランティアが人権上どうかという点や、徴兵をされている間の購買力低下による経済的損失などを考慮すると、どうなるか等は解りません。
個人的には、徴兵制には反対ですが。

furukatsufurukatsu2007/01/17 18:38>>無名さん
その通りだと思います。徴兵制度は純軍事的な理由で否定されているのではなく、経済、社会的な事情、つまり無名さんのおっしゃられる通り「人命のインフレ」の為にあると言えると思います。

>>なしなさん
さて、民間企業はなぜ役に立たない素人をさけるのでしょうか?
つまり、それは生産性が悪いゆえに給与に比して生産性が上げられないからです。また、現代の民間企業は素人に毛が生えた程度のアルバイトを大量に雇用しています。それほど熟練をようさない仕事についてはアウトソースなりなんなりをするというのは民間では当たり前でしょう。
あと、非正規戦は数ですよ(笑) 特殊部隊でゲリラ退治をするのは、無茶です。

>>fuku33さん
こちらこそ、非常に参考になる話しでした。
R&Dはコンセプチュアライズ、言語化といった考えは非常に興味深かったです。あと、中小企業における作為の契機についても。

通りすがり通りすがり2007/01/18 07:55そもそも日本は攻めてくるのは返り討ち、って考えだからこそ徴兵イラネ、なんですけどねぇ。そのため大事なのは海と空であってこれは完全な技術職だから徴兵なんぞでは毛筋も賄えない。

furukatsufurukatsu2007/01/19 01:04>>通りすがりさん
海と空で阻止できたら誰も苦労しませんね。
スタンドオフ攻撃やゲリコマでの空港、港湾の破壊とか、考えられません?

その考えが正しいならヨム・キップルでイスラエルはパーレブ・ラインを守りきったでしょうねー。

通りすがり2通りすがり22007/01/19 03:03よく混同する人がいますけど、国内(周辺)で外敵と戦うのと、国外に派兵するのでは全然話が違います。どちらを想定しているのか明記して議論した方がいいかと。
外国に出すのであれば訓練をつんだ職業軍人じゃないと無理です。
日本が海外に自衛隊を出すようになっても徴兵制が復活するということはありませんね。出すといっても多くて数千人ですし。
国防という面では徴兵制は考える価値はあります。
社会的・経済的コストとメリットを考えたら防衛予算増やす方がいいと思いますけどね。

>>furukastuさん
頭数が必要といっても普通のゲリラなら最大数万人というレベルでしかありません。
ヒズボラみたいな準国家クラスの規模と装備の組織を相手にするのであれば話は別ですが、とりあえず該当しそうなのは北朝鮮ぐらいしかいません。
北朝鮮にしても主目的はあくまで韓国であり、日本に大量の人材・物資を投入することは考えにくいでしょう。

私の考えでは、徴兵制をしいてまで人手を集めることは必要ないかと。
現状であれば予備役制度の充実で十分足りるのではないでしょうか。
特に民間の企業や国民の理解なんですけど、難しいですね。

furukatsufurukatsu2007/01/20 03:57>>通りすがり2さん
一般論として、個別具体的な状況を普遍とするのは、どうかな、って話だけですよー そして、現在の社会的・経済的な文脈を考えれば、おっしゃるとおり、予算の拡充ですみますし、現在の日本で徴兵は割に合わないでしょう。

無名無名2007/01/20 17:33先にも記しましたが、個人的には徴兵制には反対です。
また、小生が専門としている、戦前期日本においても、昭和十年代までは、くじ引きによる徴兵が行われており、国民皆兵とはかけ離れたものでした。(当選確率は、様々な説がありますが、ある程度、志願兵もいるため、小生が調べた多摩地域では三十分の一前後だった時期が長いです。)

無名無名2007/01/20 17:46少し話がズレますが、戦前期日本の地域内における重要な集団として、在郷軍人会と青年団(会)があります。
在郷軍人会は、名前の通り、徴兵なり志願なり(軍属も含む場合があります。)で軍隊に在籍していた予備役、後備役の人間が入会している組織です。(ただし、かなりの例外も見られ、地元の名士で、ある程度の学歴を保有している人間が、軍隊経験がないのにもかかわらず、村や郡の分会長をしている例があります。)
青年団は小学校卒業後から、徴兵検査までの間を埋めるための組織とされ、(発足の当初は、概ね、文学や武道の同好会、小学校の同窓会です。また、現実として、三十歳過ぎのメンバーがいる場合もあり複雑です。)徴兵検査の際の体格検査の成績、性病の撲滅、入営後の筆記試験の成績向上を目的としていました。(陸軍と内務省、文部省の考えでは。)

無名無名2007/01/20 17:58本来、同好会の類(驚くべきことに、在郷軍人会ですら、一種の武道サークル、文学サークルでした。)である、青年団(会)や在郷軍人会を国家に取り込む切っ掛けとなったのは、日露戦争時に自然発生した、草鞋の献納運動です。
また、関東大震災時には、関東周辺の青年会、在郷軍人会が人手と食料を持ち寄り救護活動をおこなっています。
これらの経緯から、二次大戦中には、警防団に改組され、今日で言う消防団活動が本来任務となりました。
歴史的に、鑑みると、少なくとも日本では、よほどに戦争が激化した時期を除き、極一部の志願兵、籤運の悪い人以外は、緊急時の徴兵ソース、平時、戦時の支援要員と考えられていました。

無名無名2007/01/20 18:06逆にいえば、通常、軍隊における兵員より、それを支える人間たちのほうが人手を要するということが、戦前においても、薄らぼんやりとは理解されていたようです。
まして、今日の機械化、装甲化された軍隊、人権の強い娑婆では、金銭で、行うかボランティアとなるかは別として、戦時、災害時における、人手は(単純な作業員も、ある程度の技術者も)より必要とされると思います。